防災月間に考えたい「住まいと防災」
9月1日の「防災の日」を皮切りに、9月は「防災月間」とされています。9月1日は関東大震災が発生した日であり、また伊勢湾台風など自然災害が多く発生する時期でもあります。そのため、この時期は防災意識を高め、備えについて見直す大切な機会です。各社が防災に関する調査を行っており、その結果から防災の備えを考えてみましょう。
巨大地震・水害に備える意識の高まり
自然災害といえば「地震」や「水害」を想起しますが、近年は「火山噴火」への備えも必要とされています。内閣府や東京都は2025年8月に、富士山の大規模噴火による火山灰被害を想定したCG動画を公開しました。
一条工務店の調査(対象:全国の男女1,269人/2025年7月実施)によると、
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「5年以内に大地震に遭う可能性があると思う」:71.8%
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「水害が身近で発生する可能性があると感じる」:56.7%
と、多くの人が自然災害のリスクを強く感じていることがわかります。
自宅の耐震性や避難ルートへの不安
しかし、同調査で「自宅は大地震でも安心できる耐震性があると思うか」と聞いたところ、約6割が「そう思わない」と回答。その理由として最も多かったのは「自宅の耐震性を把握していない」(73.5%)でした。
また、損害保険ジャパンの調査(対象:30歳以上の男女1,033人/2025年7月実施)では、「最適な避難ルートを確認し、理解している」と答えた人は35.3%にとどまっています。
ハザードマップの認知は半数以下
地方自治体が作成するハザードマップについては、
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「洪水ハザードマップを見て内容を覚えている」:45.2%(一条工務店調査)
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「災害ごとに確認し、リスクを認識している」:40.3%(損害保険ジャパン調査)
と、十分に活用されているとは言いがたい状況です。ハザードマップは最新の情報を確認し、災害時にすぐ活かせるよう準備しておくことが重要です。
マンション居住者の備え
つなぐネットコミュニケーションズの調査(対象:マンション居住者4,583人/2025年7月実施)では、6割以上が「大地震後も自宅で生活を続ける」と回答。特に階数が高いほど「自宅避難」を想定する傾向がありました。
ただし備蓄状況には差があり、例えば「災害用トイレの備蓄」は全体で34.2%でしたが、タワーマンション居住者では40.4%とやや高めでした。マンションは水や電気が止まるとトイレが使えなくなる場合が多く、十分な備蓄と準備が不可欠です。
まとめ
防災月間を機に、
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自宅の耐震性確認(耐震診断の実施)
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避難ルートや避難先の把握
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ハザードマップの定期確認
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自宅避難を前提とした備蓄(食料・水・災害用トイレなど)
といった点を改めて見直すことが大切です。